コードからスペックへ
― AI時代の気象気候モデリング ―
生成AI仕様駆動による気象気候モデリング基盤SCALEの飛躍。物理・数理モデルの「仕様」を中核資産とし、生成AIにコード生成を任せる新しい開発パラダイムで、富岳・富岳NEXT上の最先端気象気候・惑星科学を実現します。
プロジェクト概要
気象気候モデルの「暗黙知」を、AIが理解できる形へ
背景
気象・気候の数値予測モデルは、世界中の研究機関が開発した複数のモデル群が緩やかに連携し合う「モデルエコシステム」として発展してきました。日本発のモデル「SCALE」も、その一員です。
課題
これらのモデルは長年の開発で数十万行規模のコードへと成長し、性能を引き出すための工夫が複雑に絡み合うことで、コードの意味を人間はもちろんAIにとっても理解しづらいものになりつつあります。次々に登場する新しい計算機(GPU、富岳NEXTなど)へ対応させる作業も、専門家の手作業に頼らざるを得ないのが実情です。
アプローチ
本プロジェクトは、「コードそのもの」ではなく「仕様」――物理法則・数値アルゴリズム・実装方針を自然言語で記述したもの――を開発の中核資産と位置づけ、生成AIにコード生成を任せる新しい開発パラダイムを提案します。仕様さえ整備すれば、新しい計算機構成に対しても最適化されたコードを自動生成できる仕組みを構築します。
目標
この手法で気象モデルSCALEを刷新し、富岳・富岳NEXT上で世界最先端の気象・気候・惑星科学研究を実現します。防災・減災、気候変動対応、食料・水資源、惑星探査など、社会課題の解決にも貢献します。
サブテーマ
仕様駆動基盤と5つの先端科学コア
本プロジェクトは、土台となる「仕様駆動基盤」(柱1)と、それを実プロダクション規模で検証する「5つの先端科学コア」(柱2)の二本柱で構成します。
A
仕様駆動基盤
物理・アルゴリズム・実装の3階層仕様と検証ゲート、複数の生成AIに対応するLLM制御ハーネスを構築。人間の最適化ノウハウとAIによる自動生成、自動チューニングを組み合わせ、既存Fortran資産を仕様として明文化しながら継承します。あらゆる科学コアの基盤となる、本プロジェクトの中核技術です。
B-1
DG法力学コア
大気の流れを解く計算の「心臓部」を、高精度な数値手法で刷新。世界最高解像度級の全球シミュレーションを目指します。
B-2
超水滴法雲微物理
雲の中の水滴や氷粒を粒子として追跡するシミュレーション手法。局地的豪雨のメカニズム解明を目指します。
B-3
3次元放射
雲の立体的な構造を考慮した放射計算により、より正確な気象予測を可能にします。
B-4
データ同化×制御
観測データを取り込みながら予測を修正する技術と、線状降水帯の予測制御に挑む研究です。
B-5
惑星応用
培った技術を火星・金星・木星など、地球以外の惑星の大気研究にも応用します。
研究体制
代表機関・協力機関・連携機関の全参加者
研究開発課題責任者(PI)
西澤 誠也
国立研究開発法人理化学研究所 計算科学研究センター 上級研究員
国立研究開発法人理化学研究所
- 河合 佑太
- Tristan HASCOET
- 富田 浩文
- 三好 建正
- 足立 幸穂
- 山浦 剛
- 末松 環
- 岡崎 恵
横浜国立大学
- 吉田 龍二
名古屋大学
- 片桐 孝洋
- 星野 哲也
- 椋木 大地
兵庫県立大学
- 島 伸一郎
- 柳瀬 友朗
大阪大学
- 佐藤 陽祐
千葉大学
- 大塚 成徳
- 岡崎 淳史
- 小槻 峻司
神戸大学
- 樫村 博基
- 林 祥介
東京大学
- 下川辺 隆史
- 山崎 一哉
- 任 軒正博
京都大学
- 竹広 真一
愛媛大学
- 亀山 真典
京都産業大学
- 小郷原 一智
国立研究開発法人海洋研究開発機構
- 宮腰 剛広
北海道情報大学
- 佐々木 洋平
研究成果
論文・発表
採用情報
ポスドクを募集予定
次世代研究者を募集します
本プロジェクトでは、事業期間(令和8年10月〜令和13年3月)中にポスドク4〜5名を、「仕様駆動気象モデル開発」と「AI×気象学」の両方を担える次世代研究者として募集します。具体的な公募(分野・応募資格・締切など)は決まり次第、本ページに掲載します。
お問い合わせ
ご連絡はこちらまで
本プロジェクト事務局(理化学研究所 計算科学研究センター)
spec-to-science@ml.riken.jp
